自社サイトを生成AIの学習対象から除外したい場合の設定とSEO・AIOリスクについて
なぜ今「生成AIに学習させない設定」が注目されているのか?
ChatGPTやGoogle Bard(Gemini)などの生成AIが急速に普及し、Web上の情報がAIの学習データとして活用される時代になっています。
しかし、企業によっては「自社のノウハウを勝手に学習させたくない」「ブランド表現がAIに模倣されたくない」と考えるケースも増えており、AIクローラーからの保護が重要になりつつあります。
特にAIの力を借りずに人力で書いたコラムや、高いお金を払って指導を受けたコンサルタントや専門家監修のキャッチコピーや文章を、簡単にAIに学習されたくないという気持ちはよく分かります。
ただ、自社オリジナルの情報、クリエイティブを守りたいからと言って、全てをブロックしてよいか?というとそう単純な話ではありません。
当記事では自社サイトを生成AIの学習対象から除外したい場合の設定とSEO・AIOリスクについて解説していきます。
生成AIの学習を除外する設定方法① robots.txtによるクローラー拒否
AIによる学習を防ぐ最も基本的な方法は、robots.txtでAIクローラーを拒否することです。以下に代表的な設定例を紹介します。
■ OpenAIのGPTBotをブロック(ChatGPT学習対策)
User-agent: GPTBot
Disallow: /
■ GoogleのAI学習クローラー「Google-Extended」をブロック
User-agent: Google-Extended
Disallow: /
上記をサイトのルートディレクトリ(例:https://example.com/robots.txt)に設置するだけで、AIによる学習を拒否できます。
生成AIの学習を除外する設定方法② metaタグによる検索インデックス拒否(補助的手段)
次に紹介するのは、HTMLの<head>内に記述するタグによる対策です。これは検索エンジンによるインデックスやリンククロールを拒否する設定であり、 以下のように記述します。
<meta name="robots" content="noindex, nofollow">
ただし、このタグはGoogleなどの検索エンジンを対象としたものであり、生成AIの学習を直接ブロックするものではありません。
また注意すべきは、このタグをサイト全体に適用すると、検索エンジンから一切インデックスされなくなる点です。
SEOを重視する通常のページでは致命的なデメリットとなるため、限定的な用途に絞って活用すべきです。
■ metaタグが有効な場面(検索流入に依存しないページ)
- 広告やSNSからのみアクセスされるLP
SEO順位を前提とせず、広告経由でのみ流入を想定している場合。 - CTA先のクロージング用ページ
購入・登録完了後に表示する感謝ページなど、検索にヒットする必要がないページ。 - クローズド資料の一時公開URL
商談中などで一時的に共有する資料ページなど。
このように、検索エンジンに露出しなくても価値が発揮されるページであれば、metaタグによるnoindex設定は十分に有効です。
画像をAI学習から守る方法はある?
テキストだけでなく、画像もAIに学習される可能性がありますが、画像の保護にはまだ明確な国際基準がありません。とはいえ、以下のような対策が一定の効果を期待できます。
- robots.txtで画像ディレクトリを拒否
例:Disallow: /images/
- 画像ファイルにIPTCメタデータで著作権表記を埋め込む
- 「AIによる学習利用を禁じます」などの利用制限文をページに明示する
ただし、完全に学習を防げる保証はありません。今後、国際的な規制整備や、画像クローラー識別用の標準規格の登場に期待が集まっています。
SEO順位とAI活用(AIO)への影響リスク
AIクローラーをブロックした際に気になるのが、SEO順位への影響です。以下のように整理できます。
■ GPTBotのブロック → SEOに影響なし
ChatGPTの学習用クローラー(GPTBot)は検索順位に一切影響しません。安心してブロック可能です。
■ Google-Extendedのブロック → AIOで露出減のリスクあり
GoogleのAI検索(Gemini/Bard)で使用される「Google-Extended」をブロックすると、AI OverviewsやAI要約の対象から除外される可能性があります。
検索順位自体には影響しませんが、AI検索対応が進む中で表示機会の損失につながる恐れは否定できません。
自社にとって最適な設定とは?判断基準まとめ
- 機密情報や独自ノウハウを守りたい
→ GPTBotは確実にブロック。Google-Extendedも必要に応じて。 - SEOやAI検索での露出を最大化したい
→ Google-Extendedは許可(ブロックしない)方が無難。 - 記事単位での制御をしたい
→ metaタグで個別ページだけnoindexを設定。
最も重要なのは「すべての情報をブロックする」のではなく、ブロックすべき情報を見極めて、必要な部分にだけ適用することです。