KPIはカスタマージャーニーごとに分けてステップ別に設計せよ|全体最適のWEB戦略を作る思考法
はじめに|KPIが「機能しない」のは、設計の視点がズレているから
多くの企業がWEB戦略においてKPI(重要業績評価指標)を設定していますが、「数値は追っているのに成果が出ない」という悩みを抱えがちです。
その原因のひとつが、KPIが“点”として設定されており、顧客の行動プロセス(ジャーニー)と乖離していることにあります。
本記事では、KPIを「カスタマージャーニーごとにステップ分解」して設計することで、全体の戦略がつながり、施策が効果的に機能する思考法を解説します。
カスタマージャーニーとは何か?
カスタマージャーニーとは、顧客が商品・サービスを認知してから購入・利用・ファン化に至るまでの一連のプロセスを指します。
通常、次のようなステップに分かれます:
- ① 認知(知る)
- ② 興味・関心(気になる)
- ③ 比較・検討(調べる)
- ④ 行動(購入・登録)
- ⑤ 継続・紹介(ファン化・リピート)
それぞれのフェーズでは、ユーザーの心理状態と求める情報がまったく異なります。 にも関わらず、「PV数」「CV数」といった“統一KPI”だけで戦略を評価していると、特定のフェーズに偏った改善しかできません。
KPIは“フェーズ別”に設計してはじめて意味を持つ
各フェーズに合わせてKPIを設計すると、施策の精度が格段に上がります。
たとえば──
- 認知フェーズ:Impression数、ページ到達率、SNSリーチ数
- 関心フェーズ:滞在時間、再訪率、クリック率(CTR)
- 比較フェーズ:資料DL数、FAQ閲覧率、CTAクリック率
- 行動フェーズ:CV数、CVR、フォーム完了率
- 継続・紹介フェーズ:LTV、レビュー投稿数、SNSシェア数
このように、「ユーザーがどの段階にいて、どこで離脱しているのか」が明確になり、フェーズごとの改善点が見えてくるのです。
ありがちな失敗例|KPIの“単体管理”が引き起こす部分最適
たとえば「CV数が増えない」と悩んでいるのに、認知フェーズのKPI(例:PV数)ばかりを追ってしまうと、課題の本質を見誤ることになります。
逆に、行動フェーズのCV率ばかりを見て、比較フェーズでの離脱(たとえばFAQ未読・他社との比較不足)を無視していては、最適な改善にはつながりません。
このような“部分最適”が連鎖し、全体戦略がバラバラになるのが、KPIをフェーズで設計しない大きなリスクです。
ジャーニーごとのKPI設計で成果が見える戦略に
KPIをカスタマージャーニーごとに分解して設計することで、次のようなメリットが得られます:
- ・フェーズごとの課題が可視化され、優先順位が明確になる
- ・各施策がどのフェーズを担っているか整理できる
- ・担当ごとの役割分担と連携がスムーズになる
- ・ユーザー視点での導線やコンテンツの見直しにつながる
これにより、「数字を追ってるのに成果が出ない」から脱却し、成果の出るWEB戦略=全体最適な設計に近づくことができます。
まとめ|KPIは“ユーザー行動の流れ”に沿って設計せよ
KGI(最終目標)を達成するには、そこへ至る「ユーザーの旅路=カスタマージャーニー」を分解して把握することが欠かせません。
そしてその各ステップにおける“進捗の指標”こそが、フェーズ別のKPIです。
数字を動かすのは施策。施策を動かすのは指標。指標を設計するのは戦略。
KPI設計とは、単なるレポート作業ではなく、戦略そのものを可視化し、分業と改善を可能にするための設計図です。
今のKPIが「なんとなく追ってる数字」になっていないか、ぜひ一度見直してみてください。